トライアンフ東京

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ride for a cup of coffee

3週間ほど前のある日、ショールームに一本の電話がかかってきました。

受けたスタッフから私に「K様からお電話です」と内線が回ってきました。

「先日、新車をご納車したK様だろう」

初回点検の入庫時期について相談中だったので、そのご予約だと思い受話器を耳に当てました。

すると聞こえてくる声や口調が予想とは違っていました。

「あの~」(K様)

「はい」(私)

「憶えていらっしゃらないとは思いますが…」(K様)

とても落ち着いた穏やかな声です。

 

えー!?

なに?

どちら様?

記憶を手繰り寄せようと脳みそのアクセルを開けつつ次の言葉を待ちました。

 

「数年前に福島の温泉でご一緒したKです」

「昔の写真を整理しながら眺めていたら懐かしくなり、思い切って電話してみました」

とのこと。

 

ハイッ、すぐに思い出しました!

というか、思い続けていました。

再会をずっと願っていた方です。

 

以前お会いした時に、乗っているバイクの話から自然と仕事の話になった記憶があります。

それを手掛かりに探し当ててお電話をかけてきていただいたのだと思います。

「もちろん憶えています!」

「湯ノ花温泉でご一緒させていただきました」

 


3年前の秋に行ったツーリングは、私に大きなギフト(とっても不思議な出会い)をもたらしてくれました。

その思い出は、まさに宝物。

お電話をいただいた驚きと喜びにドキドキしながら、受話器越しにあいさつとお礼の言葉を伝えます。

K様のお声も、とても元気そうです。

「玲子さんもお変わりありませんか?」

ご夫婦(勝手に両親と思ってる)ともにお元気とのこと。

こんなに嬉しいことはありません。

そこからは、しばし仕事も忘れてお互いの近況報告など会話が弾みながらも、すっかり夢見心地で少し涙声になってしまっていたかもしれません。   ショクバナノニ

「パンデミックが収まり状況が落ち着いたら、例の温泉宿で杯を酌み交わしましょう!」

約束を…、とても大切な約束をさせていただきました。

直接お声は聴けませんでしたが、奥様(勝手に母と思ってる)も涙ぐみながら喜んでくれていたようです。

「またお会いしたい!」と願い続ければ、叶えるための道が拓けるのですね。

 


K様は一切のインターネットから距離を置きながら暮らしているので、連絡は「電話」か「たまーに電源を入れるガラケーのショートメッセージ」のみです。

その後も何度かやりとりをさせていただいているのですが、これからも定期的なコンタクトを維持しながら早く約束を実現させたいなと願っている今日この頃です。

「今秋にお会いできたら嬉しいなー」などと考えていたら、連れて行っていただいたカフェのことを思い出しました。

 


「あれっきり福島にも行けていないとおっしゃっていたから、カフェのマスターご夫妻も心配していらっしゃるだろう」

そう考えた私は、ただ一言「Kさんご夫妻はお元気ですよ」を伝えるために。

そして一杯の珈琲をいただくために。

営業日か否かの確認もしないまま行きましたが、マスターご夫妻にお会いすることができました。

距離を取りながらマスク越しでの会話でしたが、とっても喜んでいただけました。

「そうですか、K様もお元気なのですね」と安堵の表情。

「今度は一緒におじゃましますね」

「楽しみに待ってます」

長居はせず、帰路につきました。

 

この時期の長距離移動について非難を受けることは承知しているつもりですが、どうしても直接お伝えしたかったのです。

 

 

 

 

 

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