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育事
奥多摩周遊からR411へ。
この道沿いであることは間違いない。
ここからなら、さほど距離がないことも知っていた。
そろそろか?と思いつつも、そのまましばらくThruxtonを走らせる。
不安になり始めたころ、その建物は大きな左コーナーの先に見えた。
丹波川を見下ろす駐車場に愛車を停めて、建物に向かう。
なぜか少し緊張する。
緊張する必要はない、名乗るつもりなどないのだから。
ただ、ひとりのライダーとして一杯のコーヒーを飲む。
ふたことみこと言葉は交わすだろうが長居はしない、それだけのつもりだった。
実際、静かな時間が流れた。
雲取山ブレンドと名付けられたハードボイルド・コーヒーは、まさに好みの味だった。
カップを片手に、カウンターに置かれていた雑誌に目を通す。
ようやくその場の雰囲気になじんできたころ、マスターがさりげなく声をかけてきた。
3年前の夏、初めて会ったときはそんな感じだったと記憶しています。
バイク業界初心者である自分が「バイク・ディーラーに勤めてます」なんて自己紹介するのはおこがましいと感じていました。
「あのライダーズ・カフェに行ったことがある」
自分としては、それだけで充分だったのに…。
マスターの笑顔とトークに、すっかりやられてしまいました。
気付いたら、時計の長針が2回転くらいしてて…。
「ここで試乗会ができたら素晴らしいね!」って話になっていました。
でも、まだその時は絵空事というか、空想の中のイベントみたいなイメージでした。
だってやっぱり色々と問題やリスクがあるじゃないですか。
一番はやっぱり安全面です。
しっかりと事故なく開催できるのか?
継続的に実施できるのか?
などなど。
ところがっ!
1ヶ月後、カフェを再訪した際には もうやる気満々で。
「できない理由を探すのでなく、とにかくやる方向でトライしましょう!」ってことになったのでした。
それから8か月後、ようやく開催にこぎつけて…。
笑顔があふれる中、山の稜線に陽が傾き無事に終了できた時は本当に「やってよかった」と感無量でした。
試乗車、2台だけだったんですね(笑)。
そこから数えて、先月の開催で5回目。
回を重ねるごとに規模も拡大し、安全への意識もより一層高まったように感じます。
関わってくれた全ての人たちによって、このイベントは育ててもらっているのです。
まさに「育事」。
そこで繋がったかけがえのないご縁も数知れず。
あのモデルさん、あの作家先生、そのマスター、あの同級生、あの職人、あのミュージシャン、あの料理人、あの知人、地域の方々(おまわりさんまで)、そしてなによりゲストのみなさま。
バイクなしでは一生出逢うことがなかった人たちが、一緒に笑ってます。
なんていうか。
ちょっと言葉が見つかりません。
ただひとつ、いえることは…。
「ありがとう。また春に会いましょう!」
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