スタッフ ブログ
【試乗記】Scrambler1200XC
みなさんこんにちは。トライアンフ東京の蔡誠司です。
今回はScrambler1200XCについてお話ししてみたいと思います。
Bonneville系1200ccエンジン搭載車は、みんなキャラクターが明確に分かれていて、それぞれの良さがあるのですが、Scrambler1200XCは乗ったら面白いだろうなぁと思いつつも、その大きさから敬遠していた車種でした。
でも、2月のツーリング企画「一足早く、春を感じませんか?」で使用する予定の車両のため、大きさに慣れなければと丸一日乗ってみましたので、その時に感じたままをお話していきたいと思います。
では、まず最初の関門であるシート高から。
Scrambler1200XCのシート高は840mmと高めの設定です。これは悪路での走行を想定して、サスペンションを長めに設定しているためです。
サスペンションが動く長さを「ホイールトラベル」と言いますが、このScrambler1200XCは200mm。同じエンジンを積むカフェレーサースタイルのThruxton RSは120mmです。二台並べて比較すると、車高の違いがお分かりいただけると思います。
参考までにScrambler1200XCよりも更にオフロード性能を高めた「XE」というモデルのホイールトラベルは250mmで、シート高は875mmです。もう、笑うしかありません。
私は身長172cmなのでScrambler1200XCは足付きが不安でしたが、跨ってみると適度にサスペンションが沈み込み、両つま先がしっかり届きました。これだけ足が付けば遠出しても大丈夫です♪
Scrambler1200XCのデザインは好きだけど、その大きさに圧倒されて「ムリだろうなぁ~」と選択肢から外されている方は、一度、トライアンフ東京で跨ってみてください。もちろん、試乗もOKです。
きっと、今までの印象が変わるかもしれませんよ。ちなみに、購入時はオプションのローシートに変更すれば、シート高を「25mm」下げることも可能です。
さて、次に乗った時の感想はどうなのでしょうか。
Scrambler1200XCはキーレスのため、エンジンスタートはポケットにワイヤレスキーを忍ばせたまま、ハンドルのスターターボタンを押せば元気よく目覚めてくれます。
メーターの表示は速度計を大きくするか、回転計を大きくするか、好みで変更可能です。私は回転計がアナログで速度計がデジタルの組み合わせが好きなので、そちらを選んで走りました。
ライディングモードは5種類(Rain、Road、Sport、Off-Road、Rider)です。スロットルレスポンス、トラクションコントロール、ABSがモードによって変わります。
悪天候の中を走るのなら、もちろん「Rain」が安心です。街乗りでしたら「Road」がお勧めです。
慣れてきたら「Sport」、そして、本格的なオフロード走行でタイヤがグリップしないような路面コンディションであれば「Off-Road」にして、敢えてトラクションコントロールやABSを解除してしまった方がコントロール性は上がります。この辺は別の機会に掘り下げてお話しできればと思います。
発進時はECUが状況を読み取って、クラッチをつなげるだけでスロットルを開けなくても回転数が少し上がる「アシスト機能」が付いています。
Scrambler1200XCのエンジンは低速からの強いトルクが持ち味なので、こういったアシストがあることでスムーズな(ジェントルな)発信を可能にしてくれているのです。
渋滞にハマってしまって、少し動いては止まってを繰り返すような時、スロットルの開け方に気を遣わずに済むのはありがたいなぁと思いました。これだけでも、疲労度はかなり減りますからね。
また、Triumph伝統の1200ccバーチカルツインの加速性能はスペック以上の体感加速です!
一般道では本来のポテンシャルを発揮する機会が少ないのですが、高速道路の料金所からのダッシュは相当な加速力を見せてくれました。
低速からの太いトルクに乗った加速は心地よく、回転数が上がるにつれて大きな車体をグイグイとスピードをのせていってくれます。法定速度+αまでアッという間に到達します!
パワーこそRRの半分ですが、トルクはさほど変わりませんから、当たり前かもしれませんね。
クラシカルな見た目とは裏腹に、相当なポテンシャルを秘めていると感じました。映画「007」で起用されたのも頷けます。
それでは、コーナーリングに関してはどうでしょうか。
フロント21インチ、リヤ17インチの組み合わせにブロックパターンのタイヤを履いていますので、あまり期待していませんでしたが、ほんとうに良い意味で裏切られました。
スポーツ系のバイクとは違って、ヒラヒラ曲がるようなハンドリングではありませんが、非常にナチュラルな特性で、人間の本能的な感覚にピタッと来る感じと言ったら褒め過ぎでしょうか。
それくらい自然なフィーリングで、スイ~ッスイ~ッとコーナーを駆け抜けることが出来るハンドリングです。
曲がりたい方向に車体をバンクさせる時も大げさなアクションはいりません。行きたい方向へ肩越しに目線を向けて、お尻から押し出すように意識すればフロントタイヤを軸にして気持ちよく旋回体制に入ってくれます。
いやいや、これはツボにハマりましたね~。これって僕が求めている理想的な感覚です。
標準装着のタイヤはメッツラーのツアランスと言う、オンオフ両用の決してハイグリップなタイヤではありませんが、コーナーで車体をバンクさせていっても、不安を感じることなく気持ちよく走ることが出来ました!!
これは、Scrambler1200XCのしなやかなフレームと、良く動くサスペンションのお陰で、車体全体でタイヤを押し付ける力、「メカニカルグリップ」が強いためなのかもしれません。
ライディングポジションは状態を起こした姿勢のため非常に楽ちんです。ハンドル位置は若干高いかなと思いましたが、一日中乗っていても肩、肘、腰などに力みが生じることはありませんでした。
ただ、高速道路での走行時は風圧を体全体で受け止めることになりますので、Triumph Tiger900などのアドベンチャーバイクと比べれば、多少、疲れます。でも、この辺りは慣れの問題かなと個人的には思っています。
また、今回は滑りやすい路面も走ったので、トラクションコントロールとABSの恩恵にあずかる機会がありました。またその違いを体感してみようと、オンでもオフでも解除して走ってみましたが、かなり細かい制御が入っているのが分かりました。
見た目はクラシカルなのに、中身はしっかり現代の技術が盛り込まれていて、どんな時でも裏切ることなく、安心して走っていられるバイクです。
以前、Scrambler900のレビューでも言いましたが、デザインで惚れて、乗れば乗るほど好きになる。スクランブラーって、そんなバイクだと思います。
今回はこのScrambler1200XCを駆り出して、房総半島をグルっと回るコースを240キロほど走ってきましたが、その感想を一言で言うなら「楽しい~(^◆^)/~」です♪
「お前は子供か!」と突っ込まれるかもしれませんが、それくらい、メットの下ではニヤけて乗ってました。自分の感性にピタッと来るバイクが見つかると、走る楽しさって、ほんと倍増しますね。
今回のレポートがScrambler1200XCを検討されてる方の参考になればうれしいです。