トライアンフ東京

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育事

奥多摩周遊からR411へ。

この道沿いであることは間違いない。

ここからなら、さほど距離がないことも知っていた。

そろそろか?と思いつつも、そのまましばらくThruxtonを走らせる。

不安になり始めたころ、その建物は大きな左コーナーの先に見えた。

丹波川を見下ろす駐車場に愛車を停めて、建物に向かう。

なぜか少し緊張する。

緊張する必要はない、名乗るつもりなどないのだから。

ただ、ひとりのライダーとして一杯のコーヒーを飲む。

ふたことみこと言葉は交わすだろうが長居はしない、それだけのつもりだった。

実際、静かな時間が流れた。

雲取山ブレンドと名付けられたハードボイルド・コーヒーは、まさに好みの味だった。

カップを片手に、カウンターに置かれていた雑誌に目を通す。

ようやくその場の雰囲気になじんできたころ、マスターがさりげなく声をかけてきた。


3年前の夏、初めて会ったときはそんな感じだったと記憶しています。

2017.8.26

バイク業界初心者である自分が「バイク・ディーラーに勤めてます」なんて自己紹介するのはおこがましいと感じていました。

「あのライダーズ・カフェに行ったことがある」

自分としては、それだけで充分だったのに…。

マスターの笑顔とトークに、すっかりやられてしまいました。

 

気付いたら、時計の長針が2回転くらいしてて…。

「ここで試乗会ができたら素晴らしいね!」って話になっていました。

でも、まだその時は絵空事というか、空想の中のイベントみたいなイメージでした。

だってやっぱり色々と問題やリスクがあるじゃないですか。

一番はやっぱり安全面です。

しっかりと事故なく開催できるのか?

継続的に実施できるのか?

などなど。


ところがっ!

1ヶ月後、カフェを再訪した際には もうやる気満々で。

「できない理由を探すのでなく、とにかくやる方向でトライしましょう!」ってことになったのでした。

2017.9.23


それから8か月後、ようやく開催にこぎつけて…。

笑顔があふれる中、山の稜線に陽が傾き無事に終了できた時は本当に「やってよかった」と感無量でした。

2018.5.13

試乗車、2台だけだったんですね(笑)。


そこから数えて、先月の開催で5回目。

回を重ねるごとに規模も拡大し、安全への意識もより一層高まったように感じます。

関わってくれた全ての人たちによって、このイベントは育ててもらっているのです。

まさに「育事」。

そこで繋がったかけがえのないご縁も数知れず。

あのモデルさん、あの作家先生、そのマスター、あの同級生、あの職人、あのミュージシャン、あの料理人、あの知人、地域の方々(おまわりさんまで)、そしてなによりゲストのみなさま。

バイクなしでは一生出逢うことがなかった人たちが、一緒に笑ってます。

なんていうか。

ちょっと言葉が見つかりません。

ただひとつ、いえることは…。

「ありがとう。また春に会いましょう!」

 

 

 

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